どこか懐かしささえ感じるシチリア・ノートを後にして、
カターニア空港の営業所でレンタカーを返却することにしました。
本土のソレントで借りてから1週間。途中、メッシーナ海峡をフェリーで
渡ったりして、走行距離はなんと1200キロに及びました!
交通の便がイマイチな南イタリア、それにシチリア島でその便利さを痛感。
乗り捨て検査でも「ありがとう、ノーダメージだよ。」と合格点。
ありがとう。ランチア・デルタ君。
君の事は忘れないよ(なんてね)。
空港からはローマ空港経由の乗り継ぎで、ヴェネツィアに向かいます。
南のシチリアから、一気に北へ。まるで鹿児島から函館に向かうような
移動かもしれません。
直通のフライトもあるのですが、朝早かったりして時間があわず、
仕方なくアリタリアのローマ乗り継ぎを選びました。
しかし、そのことが幸いしたようです。
乗り継ぎのローマ空港での待ち時間で、とんでもなく美味しいものに
めぐり合ってしまったからです。
トスカーナ貴族フレスコバルディが運営するスタンド形式のワインバーに
立ち寄り、遅めの昼食にありついたときのこと。
直径5メートルくらいの楕円形をしたカウンター形式の椅子つきで、
ワイナリーらしく豊富なワインリストの中からグラスワインを選ぶことが
でき、かつ簡単な食事というか、ワインによく合うおつまみをサーブ。
そのおつまみ類が、本格的なデキなのです。
椅子を確保して周りを見渡すと、ダークスーツ姿のビジネスマンなど
きちんとした身なりの旅行客が目立ちます。
それもそのはず、フレスコバルディのワインは一流品であり、
そもそもこういった空港のスタンド形式でいただくようなワインではないのです。
カジュアルな雰囲気で気軽に立ち寄れるこうした施設はとても貴重。
お客様たちが食しているプレートはなんだろう?と見ていると、
大勢の方が小さな赤いお肉の塊にナイフを入れるのが目に付きます。
なんだろう?あの料理。よく見てみると、それはタルタルステーキ。
真っ赤な生の牛肉を粗くカットしたものをセルクルで固めたものです。
スグに私も、カジュアルな赤ワインと一緒に注文してみました。
生野菜がお皿の半分以上を占め、タルタルステーキの塊が二つ。
これで確か、一皿20ユーロ程度だったかと思います。
長旅なのでお野菜は貴重だし、何よりも滴るように赤いお肉!
卓上には、フレスコバルディブランドのラウデミオ・オリーブオイル
と、モデナのマルピーギ社のカジュアルラインのバルサミコが。
一口ほおばると、それは期待以上の美味しさ!
新鮮な牛肉は、トスカーナ産でしょうか。臭みはまったくなく、
柔らかくてジューシィ。そして脂身がほとんどないのであっさりと
していて、いくらでも食べられそうです。
さらに味を完璧にさせたのが、EXVオリーブオイルとバルサミコ酢。
素材の良さをしっかりと盛り上げてくれる貴重な調味料です。
このような「素材が命」のお料理には、まさに欠かせない存在なのです。
まるで、バルサミコ酢の使い方のお手本のようなこの料理。
今回の旅の最後にもう一度、注文するほど好きになってしまいました。
さらにその後、滞在したヴェネツィアのホテルでは、
アイディアあふれるパスタ料理に遭遇。
エビをふんだんに使ったトマトソースのパスタに、バルサミコが。
これもまた、新たなバルサミコ酢の使い方としてとても新鮮で、
ついお代わりまでしてしまったのでした。恐るべしバルサミコ酢。
シチリアではあまり使っているのを見かけないバルサミコ酢ですが
さすがに北の方面に来ると洗練された料理によく使われますね。
その後訪れたフィレンツェでも、バルサミコの新しい発見がありました。
それはまた順次、お話させていただきますね。