翌朝、目覚ましにしたケータイ電話の音で目が覚めました。
フィレンツェ在住のジャーナリスト、I女史からご連絡が。
I女史は名著「シチリア・美食の王国へ」「イタリアの市場を食べ歩く」
(ともに東京書籍)等々をご主人とともに出版されていますが、
イタリアをくまなく取材して回って書かれた記事はどれも大変興味深く、
私も繰り返し拝読して参考とさせていただいています。
滞在中に一度、情報交換を兼ねてゴハンでも・・・と約束していたので、
さていつにしようか?と考えあぐねていたところ
いよいよその日となった次第。「今、近くにいるのでランチでも?」
向かった先は昨夜、夕ご飯を食べたレストランのスグ近く。
一緒にいらしたのは、フィレンツェの料理界で知らない人はいないと噂の
料理人「ケンちゃん」こと元吉シェフ。
あのフェラガモ一族が経営するというアルノ川沿いの瀟洒なリストランテ
「BORGO SAN JACOPO(ボルゴ・サン・ヤコポ)」のセコンドを務めている
彼は今日はオフだそうで、カジュアルないでたちで現れました。
I女史とともに彼の勤めるレストラン「J」へGO.
通されたウェイティングルームで、最新のフィレンツェ事情を伺い、
ディナータイムなら間違いなくゴージャスなひと時を過ごせるだろうと
思わせる素敵な空間を堪能しました。
しばらくすると、お店の雰囲気にぴったりのゴージャスなマダムが
出勤されてきました。この店の総料理長。女性がシェフだったのです。
とても料理人とは思えないファッショナブルなマダム。
さすがにフェラガモのお店だけのことはあるなぁ・・・と妙に納得です。
あ、ちなみにシェフの写真は撮り損ねました。。。
昨晩、歩いたポンテヴェッキオ(ヴェッキオ橋)を、逆にアルノ川から
望む好ロケーション。聞けば、このようにアルノ川のほとりで食事を
とれる場所は大変希少なのだそうです。
たった二組しか陣取れないそのテラスのテーブルを一つ占領して、
さわやかな川風に吹かれながらいただくランチは格別そのものでした。
「IL QUARTETTO(イル・クヮルテット)」と名付けられたメニューは
言ってみれば「日替わりランチセット」のような感じ。
前菜、パスタ、メイン、フルーツの4種類が少しずつワンプレートに
盛り合されていて、セットで15-19ユーロという実に手軽なプライス。
量も多くはないので、私のような小食派には大変ありがたいのです。
三種類のそれらのプレートをそれぞれ注文してみました。
スパゲッティはもちろん美味しく、またブッラータと呼ばれる
生クリームを後から詰め込んだようなモッツァレッラチーズが美味。
スモークサーモンなど美味しくいただけて、大満足の昼食になりました。
女史との情報交換で、最新のフィレンツェ事情を聴くことができ、
さらに日本の様子を伝えたりしながらあっという間の二時間が経過。
カフェをいただき、また再びポンテヴェッキオに戻ることにしました。
流行の先端といわれるフィレンツェの食材専門店「INO」はシンプルな
空間づくり。スッキリとセレクト食材を並べており、現代風なお店です。
惣菜や生ハムを同時に売るスタイルですが、インテリジェンス溢れる空間は
選び抜いた食材を提供していると主張している感じが伝わってきます。
お隣の人気レストラン「ORA DA'LIA」は、I女史もケンちゃんも最近
よくいくお店だそうで、創作料理が楽しい、一度は行ってみたい店です。
めまぐるしく変化する、食の流行は食道楽の町フィレンツェからも
強烈に発信されていて、本当に目が離せないなぁ・・・と思うのでした。
やがて、形を変えて日本にもその波がやってくるのかも知れません。