フィレンツェ中央駅(サンタマリアノヴェッラ駅 略してS.M.N.駅)の周辺には、
大都市のフィレンツェから郊外に向かうバスの乗り場が無数にあります。
車で10分も走れば、そこには雄大なトスカーナの景色が待っています。
フィレンツェを訪れたなら、ぜひ郊外に足を運ぶことをお勧めします。
手つかずといってもいい自然に満ち溢れ、なだらかな丘には緑色の畑が
連綿と続いています。ワイン醸造のもととなるぶどうとオリーブの実が
交互に植えられているのだそうです。
ここから、素晴らしいワインや若草のようなキレのあるオリーブオイルが
生み出されているのです。
今日はフィレンツェ滞在最終日。メルカートの店主ステファノが、
自宅があるそのトスカーナの郊外へいざなってくれました。
彼らは仕事を終えていったん帰宅。現地で待ち合わせになりました。
中央駅のすぐわきにある郊外行バスに乗り込みます。
フィレンツェから北の方角、アペニン山脈を目指してバスはどんどん
山の中の一本道を登っていきます。
途中の景色は日本の山の中とさほど変わらず、季節の緑あふれる光景。
しかし何と言っても驚かされたのは、バスの運行スピードです。
狭い一本道、しかも山道にもかかわらず、そのスピードがめちゃ速い!
カーブでもおかまいなしにアクセルを踏み続ける暴走バスだったのです。
さすが、イタリア人はバスの運転手でもハンドルを握ったとたんに
気分はF1ドライバー。血が沸騰してしまうのでしょうね。
バスの停留所は極めてわかりづらい小さな看板なので、
予め「私は〇〇で降りるからね!」と運転手に宣言しておきます。
すると、同乗者の年配のご婦人が「私もそこで降りるから!」と
言ってくれました。こういうところが、旅行者にはうれしいですよね。
バスはひっそりとした小さな町に到着。
土曜日の夕方ということもあってか、あたりに人影はなく、
寂しい感じです。ここにステファノが自家用車で迎えに来てくれる
ことになっているのですが、果たして本当にやってくるんだろうか・・・?
少々不安になりつつ、待つことにしました。
(続く)