17日間に及んだ今回のイタリア買い付け旅行記も、
だんだんフィナーレが近づいてきました。
最終日は、アグリツーリズモに戻って暑さが残るトスカーナの夕方を
プライベート・プールで過ごすことにしました。

閉店したフィレンツェのメルカートチェントラーレの裏口を出ると、
まずはそこから歩いて30秒のトラットリアに向かいました。
昨年の旅行の際に、美味しいビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを
リーズナブルな価格で食べさせてくれた安心なお店です。
本日はパスタとサラダだけの軽いプランツォ(昼食)を済ませました。

フィレンツェSMN中央駅を午後3時頃に出発し、アグリツーリズモのある
郊外の駅ルフィーナまで、およそ45分。ローカル列車に揺られて帰ります。
そうそう。電車に乗る前に宿の主人の携帯電話に連絡を入れておきました。
駅まで迎えに来てもらわないと、タクシーすらいないですから(笑。
駅でピックアップしていただいたあと、今夜、部屋で食べたいと思った
生ハムとチーズ、それにフルーツを求めて彼女が普段訪ねているお店に
連れて行っていただきます。
フィレンツェのような大都会と違い、ローカルな町には一軒しかないような
お店でも、さすがに豊富な食材が用意され、舌を楽しませてくれるのが
イタリアの田舎のイイところ。
あまりの安さに思わず地元の住人並みの量を買い求めてしまいたくなるのを
グッとこらえて、少量だけ分けていただきました。

宿の主人は、土曜日の今夜の夕食用にと、ビステッカ用のお肉の塊を
購入していましたが、あきれるほど安い価格で良質なお肉を切り分けてもらい
どっさりと持ち買っていたのが印象的です。
アグリツーリズモに滞在し、地元の日常生活に触れるよさは、
こうした場面で随所に見られます。普通の旅行にはない魅力です。
夕方5時近くでも、真夏の太陽がジリジリと照りつけるプールに
バスタオルとワイン、それにおつまみ持参で降りてみました。
すでに先客がプールサイドに寝そべりながら、楽しんでいます。
同じ宿に宿泊する他のお客様が二組でした。
「ブォンジョルノ!」とお互いに挨拶を交わせば、
会話はそこからスタートするものです。

一人は聞けば、ミラノから車でやってきたセラピストだそうです。
ストレスがたまる都会の生活者の心理カウンセリングを仕事とし、
自分自身の休暇には、アグリツーリズモによく滞在するとのこと。
現代社会の歪みを癒すには、こうした場所や時間がやはり必須なのですね。
忙しすぎる日本の都市生活者のライフスタイルやイタリアの食生活など
話は多岐に及び、先ほど買い求めてきた生ハムやチーズを肴にして
プールサイドで盛り上がり、貴重な時間を過ごさせていただきました。


このあと、ピッツェリアに出かけるんだと言う夫婦と夜9時過ぎに別れ、
自分は部屋に戻って明日の帰国準備にとりかかりました。
宿のカンティーナから届けていただいた赤ワインが空になる頃、
ようやく眠りにつきました。明日はフィレンツェの空港からローマで
トランジットして、帰国の途につきます。
充実した今回の旅を最初から思い浮かべながら眠りにつけば、
夢を見る暇もなく、鳥の鳴き声で目が覚めたのでした。。。